【感想】 地球の長い午後

今から20億年後の地球が舞台。
地球の自転が止まり、永遠の午後が続く地上では、植物が生い茂り、人類をはじめ、動物は絶滅の危機にあった、というもの。SFらしく、宇宙に行く話も出てくる。


出版時期は1962年。ニューウェーブSFが台頭してくる只中で、この作品は大きく取り上げられた(らしい)。
影響関係はわからない。この手の話はそれほど好きじゃないが、面白さがわかれば系譜学を作ってみるのも良いと思う。


地球内のSF的出来事を書いているのが当時新しかったらしい。
それ以前は、パルプマガジンとか、黄金時代とか言われ、宇宙に行ったり、冒険活劇のような、安いエンタメがほとんどだったそうだ。そこへ、文学性を持ち込んだのが革新的だったのだろう。

確かに、60年代にこういうファンタジーを読むのは楽しいものがあったに違いない。

でも、今読むと、妄想乙、という感じ。

やはり、本当にこうなるかもな、という夢を見させるような力がないと作品に入りきれない。作者の想像を楽しむべきところを、妄想に付き合っているような気持ちになり、苦行を味わうことになる。

それと、ストーリがいかにも荒い。深読みできる記号性も少ない。哲学がない。それは仕方がないことなもかもしれないが、いい線いっているだけに惜しい気がする。
ナウシカのような世界説明を期待して読んでしまうからかもしれない。

ストーリーは、ピンチを切り抜けたと思ったらまたピンチ、という、それだけの話。最後に、取ってつけたようなオチが一応ある。伏線は回収しきれていない。

まあ、こういう読書体験もあって良い。
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【簡単な感想】 都政大改革 野田数 

2017年1月発行。
小池百合子氏の都知事選と当選後の政策などを、最も身近に戦った人物が書いたもの。
都知事選の意義をわかりやすく総括してくれているのは良かった。
都知事選は、政党対小池百合子個人、という図式にしたのが大きかったという。
しかし、組織は組織で存在意義があり、個人は個人で意味があるので、なぜ組織が個人に負けたのか、その点についてもっと突っ込んだ分析があっても良かった。

【本の感想】死ぬ前に味わいたい1001食品 【これは買い】

2009年の本。内容は古くはならない。
1ページあたり、二つの食材を紹介する。
例えば、ダチョウの肉について。

「19世紀と同じような、大規模な牧場での飼育が再開している。20世紀初頭、ダチョウの鮮やかな羽は、金、ダイヤモンド、羊毛について4番目に、南アフリカから多く輸出される品物だった」

このような地理的、世界史的解説が掲載されている。
肉の解説も次のよう。

「脂肪は2〜3パーセントで、タンパク質は約26パーセント。うまく料理しないとパサパサになってしまう。(略)程よい肉の香りが他の狩猟肉とははっきり違う。ほとんどのレシピで牛肉に代わる健康的な食材として使用できる。」


読者によっては、こう期待するかもしれない。食材と料理法を詳しく解説し、エッセイの達人がとろけるような美文で食の美味しさを伝えてくれるだろうと。しかし、そうなっていないところが、本書の良い点である。

一家に一冊、図鑑のように置いてあっても良い。子供が喜んで読むうちに、世界の広さや食の楽しみ方、人類の歴史や知恵を吸収してくれるだろう。

オールカラーで1000ページもあるのに、4800円は安いと思う。

https://www.amazon.co.jp/死ぬ前に味わいたい1001食品-GAIA-BOOKS-リズ・フランクリン-他52名/dp/488282695X


ガイアブックスは、イギリスにある出版社から来た名前のよう。実用書の翻訳が多いのは、その出版社の本を紹介しているためだろう。

『武器としての人口減社会』 村上由美子著

増える空き家問題や過疎などをテーマに考えを巡らせている。
そのヒントになるかと思って読んだが、見込みと少し違っていた。

かいつまんで言うと、
人口が減るが、その分ロボット産業が成長する追い風が吹く、
それは日本が世界をリードすることにつながる、
能力の高いシニア世代や女性がたくさん眠っているから活用もできるし、
発想変えてみようぜ、という本。

データはなかなか貴重なものも多い。
過疎対策などの行政にはあまり参考にならないかも。
まあ、そもそも私のような見当で読まないかもしれいないが。

感想 『つくおき 週末まとめて作り置きレシピ』nozomi

なじみの書店で書店員と商談をしていると、
ふとこの本が目に入って購入した。書店員いわく、売れているとのこと。
それから1年近くこの本を使ったことになる。

この本の表記通り、週末につくりおきご飯を作り続けてきた。
2時間ほどかけて、15品ほど作る。
もともと食事は私が作っていたが、
妻が育休を取得することもあり、育児でお昼の準備も大変だろうと、
朝と昼に食べられるよう、つくりおきご飯を用意しておこうと思ったわけである。

この本には便利な特徴がある。タイムスケジュールが付いていることだ。
野菜のおひたしを数種類作る間に肉の下味をつけるといったように、
効率的なつくりおきのプランが視覚化されて使いやすい。

そのプランがざっくりいって4週分(4プラン)ある。
各プランには、15品ほど掲載されているので、レシピとしての能力は十分。
慣れてくると、各プランを横断的に作れるようになり、
夏は酢の物多め、という調整もできる。

これは便利だと思った。特に既婚者の男性にオススメしたいと、まわりの人にも吹聴した。
どれも簡単に作ることができ、味付けも濃い目で、男性ごのみ。
しかも、家族から喜ばれる。家庭とわが身の平和につながる。

週末にサッカーを見ながらビールを飲むくらいなら、
ビールを飲みながら2時間ほど料理する方がよろしい。

どんなに仕事が忙しくても、1日くらい休みがない人はそう多くはなかろう。
休日にごろごろするくらいなら、1週間分のご飯を作ることで、
家事をしない免罪符とした方が、男性諸君の平和ためにもよろしかろう、
まあ、そんなおせっかいなことを、本書を使いながら考えていたのである。


しかし、である。


そのうちに気になることが出てきた。
確かに、効率的に1週間分のご飯を作ることができた。
なかなかのご馳走である。

しかし、である。

この「ごちそう」が曲者なのだ。

食費がかかるし、そもそも毎日ごちそうって、体にいいの?
なんかもう肉食べたくないんですけど。胃が疲れるんですけど。
しかも数日食べられるようにと考えてまとめて作るから、
必然的に量が多い。残すのが嫌で食べるけど、なんかいろいろつらい。

ほうれん草のナッツ和えとか作っているけど、
そもそもほうれん草の味噌汁とご飯でよくね?
きゅうりの千切りと鳥胸肉を茹でて割いて酢であえるって、
もろきゅうでよくね? きゅうりにみそつけて、ご飯とお吸い物でよくね?


ていうか、出てくる材料、ほとんど同じで、
どれも似た味付けになって、工夫した割に季節感もないし、
そもそもレシピってなんだよ、なんかレシピって、いろいろつらいぞ。

適当に自由に作って粗食でよくね?
ミケランジェロって、ゆでたまごとパンしか食べないで、
大理石彫ってたとかいうじゃん。

でも、自由に作って粗食でOKと思っても、旬の野菜も分からないし、
旬の素材のシンプルな食べ方も分からないし、
必要な栄養も分からないし、もうどうすりゃいいのよ。
そんなことを思いながらもんもんとしていたわけである。

まあ、それが私の『つくおき』の最終的な感想だ。


さて、そんなもんもんとした気持ちにドンピシャで答えてくれた本がある。
土井善晴さんの、『一汁一菜でよいという提案』である。
一言でいえば、難しいこと考えないで、ご飯とみそ汁があれば大丈夫、
漬物があればなおよし、という話である。
それに至るまでの説明が秀逸。食に関する考え方がどのような社会的影響下にあるか、
わかりやすく書かれていて、なかなか説得力があると思う。
これはまた別の機会に紹介する。

あと2冊、考えるのに有用だった。
岩村暢子さんの『変わる家族 変わる食卓』。岩村さんの一連の仕事は本当に素晴らしく、
いい刺激をもらった。
食卓に責任を負うというのは、みそ汁だけ作ればいいという雑な開き直りではいけない。
季節のものをバランスよく取り入れる必要があるが、その感性を養う機会がどのように喪失していったのか、
岩村さんの仕事からよくわかる。

もうひとつは、有元葉子さんの『だれも教えなかった料理のコツ』。
これは料理への向き合い方がよく書かれていて、とても良かった。

この3冊については、いつか取り上げる。
プロフィール

吹雪

Author:吹雪
書籍編集者です。担当ジャンルは人文書から法律といった専門書、生活実用まで幅広く。哲学研究をかなり真剣にやっていましたので、現実世界のちょっと上の次元に興味があります。

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